大使挨拶

令和5年8月2日
 コートジボワール駐在の日本大使の一方井克哉(いっかたい かつや)です。2022年の初めにアビジャンに着任して以来約1年半が経過しました。大使を兼務しているトーゴには5回、ニジェールには4回、それぞれ出張し、それぞれの国の要人・国民との交流を深めてまいりました。
私が常駐するコートジボワールにおいては、これまで日本の各界のみなさまの尽力を通じて積み重ねられてきた両国の共同プロジェクトが具体的に結実してきた、そんな過去半年であったように思います。代表的な例を挙げますと、まず本年5月には日本の円借款(108.69億円)の支援を得た「アビジャン港穀物バース建設事業」の竣工式が行われ、コートジボワールのコネ運輸大臣とともに私が参加させていただきました。本件は2019年の着工以来3年半にわたる工事を経て完成したもので、コートジボワールのみならず、西アフリカのサヘル地域の内陸国にとっても食料の安定供給の強化につながる時宜を得た事業となりました。また、本年7月には、アビジャン市内のココディ大学病院の母子保健棟の竣工式が行われ、コートジボワールのアシ首相とともに私も参加いたしました。日本の無償資金協力(41.63億円)により実現した本件は、新たに建設した母子保健棟に最新鋭の母子保健医療機材・設備を備え、同国最大都市であるアビジャン都市圏における母子保健機能の中核を果たすことが期待され、母親、子供をはじめとする多くの住民の医療面での安全と安心の向上につながります。
具体的成果に結実したプロジェクトは、経済社会開発の分野に限りません。コートジボワール最大の国立大学であるアビジャンのフェリックス・ウフエ=ボワニ大学においては、本年5月、昨年供与された草の根文化無償資金協力により実現した「日本語教育・日本研究振興センター」の開所式が行われました。これは通称「ジャパン・コーナー」と名付けられましたが、西アフリカの仏語圏地域における日本語教育・日本研究振興の拠点となることが期待されています。同センターの開所にあたっては、国際協力機構(JICA)より日本語教育・日本研究に資する数多くの蔵書の寄贈をいただきました。このジャパン・コーナーを舞台として、日本と広く西アフリカの国民同士の交流、相互理解を深めていく事業を展開してまいりたいと考えております。
 また、今後の共同プロジェクトの具体化につながる大きな節目を迎えた案件もあります。本年4月には、「アビジャン三交差点建設計画」の起工式がアシ首相の参加を得て行われ、私も参加いたしました。本件は円借款(161.37億円)の支援を得て実施されるもので、アビジャン東部の郊外と中心部を結ぶ道路交通の円滑化のため3つの立体交差点を建設するものです。現在日本の無償資金協力を得て工事が進行中のアビジャン市内の日本・コートジボワール友好交差点と併せて、アビジャンの渋滞解消とともに同市の景観を大きく変えることが期待されています。
今後ともアフリカ各国と日本との間の国民レベルでの絆を深めていくため、政治分野、経済交流・経済協力、文化・学術・スポーツ分野での交流を一層進めつつ、日本大使として私に課せられた使命を果たしてまいりたいと思います。その過程で、皆様のご意見、ご助言をいただきながらオールジャパンとして取り組んでまいる考えです。どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。